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控訴審判決をうけ、勝訴の旗を掲げる原告の女性の代理人弁護士ら=2025年6月26日午後3時16分、名古屋市中区、石垣明真撮影

 自動車の保有を認められなかったうえ、車の処分を前提とした見積書が提出されなかったことを理由に、生活保護の支給が停止された三重県鈴鹿市の女性(73)が市に対し、停止処分の取り消しと55万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が26日、名古屋高裁(吉田彩裁判長)であった。

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 名古屋高裁は、一審・津地裁判決と同様に停止処分の違法性を認め、市に11万円の支払いを命じた。賠償額は一審判決の15万円から弁護士費用に関し4万円減額した。

 判決によると、2019年7月、市は女性に生活保護の支給を決定。女性は身体に障害があり歩くのが困難だったため、同月、もともと持っていた車の使用を認めるよう申請した。だが、市は認めず、車を処分するための見積書を追加で提出するよう指導。女性が従わなかったため、22年11月、生活保護の支給停止の処分をした。

 国は、障害がある受給者の車保有について、通院に定期的に使い、公共交通機関の利用が困難といった要件を定めている。控訴審判決は、一審判決と同様、女性が要件を全て満たしていたと判断。そのうえで、車の処分を前提とした市の指導が違法と認めた。支給を停止すれば、女性が日常生活を送るのが困難になると容易に認識できたのに、市は漫然と停止処分をしたと判断した。

 鈴鹿市は「判決の内容を精査したうえで対応する」とのコメントを出した。

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