子どもの頃は少し苦手だった。自分で料理をするようになってから魅力に気づいた。焼くのも、揚げるのも、煮るのもいい。夏野菜の産地訪問、最後は、様々な調理法で楽しめる万能食材「ナス」を取り上げます。(寺田実穂子)
6月下旬、群馬県伊勢崎市の牛久保容邦(よしくに)さん(64)の畑を訪ねた。
ひざ丈くらいのナスの株が並び、うすい紫の花がところどころに咲いている。茂った葉の下には黒くツヤのあるナスがなっていた。
収穫は早朝5時ごろから。牛久保さんは「鮮度が高い朝に収穫し、新鮮なものをみなさんに食べてもらいたい」と毎朝、収穫に励む。
並行して、長く栽培できるよう枝の剪定(せんてい)作業をし、11月ごろまで収穫を続ける。株は秋にかけて3倍ほどの高さに育っていくという。
伊勢崎市は、雨の日が少なく日照時間が長い。また利根川水系によって育まれた肥沃(ひよく)な土壌は、ナスを始め夏野菜の栽培に向いている。
今は露地栽培の時期。秋まで収穫されるこの時期のナスは「夏秋(かしゅう)ナス」と呼ばれ、群馬県が出荷量で全国1位を誇る。一方、冬から春に収穫するものは、ハウス栽培が主流で、高知県が最大の産地だ。
露地栽培は、ハウス施設への初期投資がなくて済み、新しく農業を始める人が取り組みやすい。また、作付面積を増やす農家もいて、JA全農ぐんまの露地ナスの担当者は、ナスは代表的な夏野菜で安定して「売れる商品」で、「ここ数年は、群馬県内では年間で作付面積が1割ほど増えている感覚」と話す。
また、2014年2月に東日…