近畿日本鉄道は、今年10月から新型の一般車両「8A系」の運行を始める。まずは奈良線や京都線などで運行を開始し、2025年度には名古屋線や大阪線などにも投入する予定だ。名古屋線で新型の一般車両が走るのは、1997年度の5800系以来28年ぶりとなる。
8A系は、同社の一般車両では00年以来の新型となる。更新対象となる昭和40年代から走ってきた従来車両と比較すると、消費電力を45%削減できるという。
座席は、混雑状況に応じて、窓際に沿った「ロングシート」と窓に直角になっている「クロスシート」の配置を切り替えられる「L/Cシート」を採用する。また、車両中央の扉付近には、スーツケースなど大きな荷物やベビーカーを持った乗客に対応するスペース「やさしば」を2カ所設ける。やさしばには、キャスターを引っ掛けて荷物が動きにくくするストッパーを設置する。
夏季や冬季の車内保温のため、乗客が扉を開閉できるスイッチを備えるほか、車内の防犯カメラを1両あたり4カ所に設置。非常通話装置が作動した際には、乗務員や運転指令者が映像をリアルタイムに確認して状況を把握するという。
今年度は4両編成12本(計48両)を製造し、奈良線などに投入。来年度は名古屋線の4両編成3本(12両)のほか、大阪線や南大阪線などに計68両を導入する予定だ。(辻健治)