ピッピを捜すために男の子が作ったポスター(写真は一部修正しています)=母親提供

 今年8月、九州に住む小学4年生の男の子(9)は、セキセイインコを飼い始めた。

 生後1カ月で迎え入れたインコを「ピッピ」と命名。

 夏休み中は旅行にも行かず、毎日餌やりをした結果、手乗りするように。

 9月中旬になると上手に飛べるようになり、隣の部屋まで行き来できるぐらいになった。

 事件が起こったのは、9月19日の午前8時半ごろ。

 同居している祖母が洗濯物を干そうとした時のことだった。

 ピッピは隣の部屋にいたので、「一つ出すくらいなら大丈夫だろう」と窓を開けたら、逃げ出してしまった。

 すぐに外を確認したが姿は見えず、警察と市役所に届け出たそうだ。

 学校から帰宅した男の子に逃げ出したことを伝えると、大泣き。

 男の子が泣きながら母に電話をかけると、母は急いで帰宅してくれた。

 厳しい残暑の中、母と2時間ほど捜し回ったが、見つからない。

 途中で小学校に寄って、男の子は先生たちにも協力をお願いした。

 「もし『インコが飛んできたから飼ってる』という子がいたら教えてください」

 その日、男の子は運動会の練習で疲れ果てていた。

 捜しても捜しても見つからず、まぶたの皮がむけるのではないか、というほど泣いていた。

 母は、地元の知り合いのグループLINEやX(旧ツイッター)で情報提供を呼びかけた。

 「『帰ろう、ことり』というサイトがあるから、そこで呼びかけてみたら?」

 「スーパーに貼り紙できるところがありますよ」

 たくさんのアドバイスが寄せられたが、ピッピの情報が書き込まれることはなかった。

自ら「ポスター」を制作

 翌朝、「学校に行きたくない。ピッピを捜したい」と言う男の子。

 「学校に行けば誰かが見たとか、保護したとかの情報が入るかもしれないよ」

 母のそんな言葉を聞いて思い直し、登校することに。

 学童保育の時間を使って、自ら「ポスター」を作って帰宅した。

    ◇

 セキセイインコをさがしています。

 名前はピッピです。

 年れいは生後2カ月です。

 せいべつは不明です。

 見つけたりつかまえたりしたら、ご連らくください。

 電場番号は○○○です。

    ◇

 日頃は字が汚いのに、精いっぱいきれいに書いてあった。

 上の方にピッピの絵を描きたいと言うので、母は「捜してくれる人のことを考えたら絵より写真がいいよ」とアドバイスした。

 空いたスペースに母が「9月19日(木)8:30に飛び出してしまいました。人慣れしています」と追記して完成。

 出来上がったポスターを10枚ほどコピーし、ラミネート加工して自宅の塀に7枚貼り、ペットショップにもお願いして貼ってもらった。

 2日経っても3日経っても、情報は寄せられない。

 連日、朝と晩に捜し歩き、土日は昼間も捜した。

 雨が降る中、母と一緒に捜しながら男の子は「誰かが保護してくれてるよね」と言い続けていた。

 母は「雨も降ったし、朝も寒くなってきたから、もう……」と、心の中で思っていた。

いなくなって6日後に

 ピッピがいなくなって6日経った25日の夕方。

 自宅の電話が鳴り、祖母が受…

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