インタビューに応じる世界銀行の西尾昭彦副総裁

 世界銀行の西尾昭彦副総裁が9日、朝日新聞のインタビューに応じ、気候変動や食料危機など途上国を襲う「多重危機」を放置すれば「世界の安定性、持続的成長に陰りが出てくる」と訴えた。欧州を中心に世界各国では、市民や政府からも危機への対応を求める声が高まっているという。

 西尾氏は世銀グループで最も貧しい国々を支援する国際開発協会(IDA)を統括する。低所得国向けの支援に充てる資金の獲得に尽力し、昨年はNGOや教育機関など非政府部門とも議論を重ねながら、加盟国からの支援を引き出した。

 IDAは先月、過去最高となる1千億ドル(約15兆7千億円)の増資が決まったと発表した。約4257億円の出資を表明した日本のほか、デンマークやスペイン、ポーランドや英国なども、これまで以上の支援を表明した。西尾氏は「どの国も財政状況がよくないなかで(増資が)1千億ドル台に乗ったのは大きい」と話す。

 低所得国への支援は複雑さも…

共有
Exit mobile version