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 稚魚の不漁によって価格が高騰するウナギを安定的に生産するため、「完全養殖」の研究が進んでいる。19日は土用の丑(うし)の日。ウナギの養殖には、ハンコやガス会社など異業種からの参入も相次いでいる。

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国産のウナギを使ったうな重=2025年7月16日午後0時56分、千葉県成田市、山田暢史撮影

 水産庁によると、2024年に国内で流通したウナギは計6万941トンで、外国産も含めほぼ養殖でまかなっている。

 環境省が13年に絶滅危惧種に指定したニホンウナギは日本から約2千キロ離れたマリアナ海溝周辺で産卵する。孵化(ふか)した赤ちゃんは5~6センチほどの稚魚(シラスウナギ)に成長し、日本周辺で捕獲された後、国内の養殖場で半年~1年半ほど育てられ、出荷される。

 稚魚は減少傾向で、国を挙げた安定供給のための研究が進んでいる。千葉県成田市の老舗うなぎ屋「駿河屋」の店主で、全国鰻蒲焼(うなぎかばやき)商協会理事の木下塁さん(48)は「新技術で安定供給につながるのはいいこと。一方で、将来的に供給が増えすぎ、価格が大幅下落する不安もある」と話す。

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備長炭で丁寧に焼かれるウナギ=2025年7月16日午前11時59分、千葉県成田市、山田暢史撮影

 水産研究・教育機構は2010年、人工の稚魚を親魚まで育て、その親の卵を孵化させる完全養殖に世界で初めて成功した。政府は25年先の50年までに天然の稚魚を使わない完全養殖への移行を掲げる。

 実現のため、低コストで卵からシラスウナギを育てる技術が欠かせず、機構は今年7月、農業機械を販売するヤンマーホールディングスなどと稚魚を大量に生産できる新たな水槽を開発したと発表した。

 ウナギの稚魚を飼育する水槽を改良すると、成長速度と生存率がアップし、飼育コストも抑えることができました。どんな工夫があったのでしょうか。記事の後半では、動画で完全養殖の最前線を紹介します。

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新たに開発されたシラスウナギの量産用水槽=水産研究・教育機構提供

 従来の1千リットル規模のか…

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