日本の東を北上する台風5号は、15日未明に北海道の襟裳岬付近に上陸し、午前中に道東部を縦断するおそれがある。気象庁によると、台風が北海道に上陸するのは2016年以来9年ぶり。7月に北海道に直接上陸するのは初めてとなる。担当者は、強い雨風とともに、「農作物への対策も油断せず行ってほしい」と呼びかけている。
気象庁は、台風5号の北海道上陸は15日午前3時ごろとみている。ほかの地域を経由せず、北海道に直接上陸した台風は1951年の統計開始以降、六つあるが、すべて8月以降だった。
16年8月は、北海道に再上陸も含めて三つの台風が上陸し、大雨により河川の氾濫(はんらん)や土砂災害が相次いだ。ジャガイモが不作となり、翌年にはスナック菓子大手各社がポテトチップスの一部を販売中止にした。タマネギ畑の輸送を担う交通網が被災し、価格が高騰するなどの影響も出た。
気象庁によると、今回の台風5号は、日本の東の海上に張り出す太平洋高気圧の縁に沿うように北上している。三陸沖の海面水温が高いため、エネルギー源となる水蒸気を補給しつつ、北からの冷たい空気の影響も受け、ゆっくりと勢力を弱めながら北海道に近づく見込みという。
自動車並みの速度で進んでおり、担当者は「接近すると雨や風が急に強くなるおそれがある」と、天気の急変に注意するよう呼びかけている。屋外にある飛ばされやすい物を安全な場所にしまうなどの強風への対策が求められるほか、「大雨や高波などについても最新の情報に注意してほしい」と話した。
気象情報会社のウェザーニューズ(千葉市)によると、台風5号は「進行速度が速いことが特徴」という。台風の右側にあたる北海道東部では雨風が強まるおそれがあり、一時的な激しい雨による道路冠水や、強い風による飛来物に注意が必要だという。