様々な理由から、単身で子どもを産むことを決めた女性がいる。「選択的シングルマザー(Single Mother by Choice=SMC)」と呼ばれる女性たちだ。都内に住む30代後半の女性もその一人。虐待を受けて育った経験から「自分が子を産んで幸せにできるのか」と葛藤した時期を乗り越え、社会的に自立したいま、精子提供による生殖補助医療で子を産む道を歩もうとしている。だが、そうした医療行為が「違法」になる法案が今国会に提出されている。
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都内に住む30代後半の女性は今年、医療機関で精子提供による生殖補助医療を受ける予定にしている。
子どものころ、母親に暴力を振るわれて育った。母親の周りにいる男性たちからは、不快な視線や言動を向けられた。不安の中で思春期を過ごした。
大学卒業後、親元を離れた。「幸せな家庭」への憧れは昔からあったが、虐待を受け、「不幸な家庭」しか知らない自分が子どもを幸せにできるのかと、諦めていた時期もあった。
でも、社会人として自立し、母親を客観視できるようになって、確執を乗り越えられていった。
次第に自分に対する「信頼」…