婚姻しても、同じ名字を名乗り続けたい――。そんなシンプルな願いに、政治はなぜ応えられないのか。
確かに「家族の絆が崩壊する」といった保守派の反対論は今も根強い。だが、選択的夫婦別姓の実現を阻む「壁」はそれにとどまらない。
政治的なモメンタムそがれる
1996年に法相の諮問機関「法制審議会」が導入を答申してから約30年。少数与党下での国会は、長年の課題に決着をつけるまたとない機会だった。
衆院だけでみれば、推進派の野党4会派(立憲民主、国民民主、れいわ新選組、共産)は192議席を持ち、自民の196議席と拮抗(きっこう)する。これらの野党がまとまれば、一枚岩ではない与党を揺さぶって、自民内の推進派や公明の協力を誘い、可決に持ち込める可能性もあった。
ところが、推進派であるはずの国民民主が立憲と細部で異なる別の法案を出し、採決回避を主張したことで、政治的なモメンタム(勢い)は大きくそがれた。
玉木代表が漏らした言葉
採決しても、否決され廃案に…