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避難先から地元に戻って花見を楽しむ人たち=2024年4月7日午後2時16分、石川県輪島市深見町、金居達朗撮影
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 能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市深見町の住民ら約150人が7日、旧小学校の敷地で花見を楽しんだ。住民が散り散りになった集落の復興に向け、「人々のつながりを保ちたい」との思いで企画された花見会。桜は一~二分咲きだったが、久々の再会に、会場には満開の笑顔が広がった。

 花見の会場となったグラウンドには、震災後も集落に残った住民や、金沢市などで暮らす集落の出身者のほか、同県小松市の2次避難先で暮らす約40人も駆け付けた。

 深見町に3カ月ぶりに戻ったという谷政義さん(87)とちよ子さん(88)夫妻は、前日の6日、輪島市内の孫の家で過ごしたという。ちよ子さんは、「家は情けなくなるほどぐちゃぐちゃだけど、みんなの努力で戻ってこられて、涙が出るほどうれしい」。政義さんは、「戻ってきて、ひ孫と一緒に寝られた。家族と一緒に過ごせて、ようやく正月を取り戻せた気分」と話した。

 輪島の市街地から海沿いの国道249号を8キロほど進んだところにある深見町。区長の山下茂さん(74)によると、震災前は、約70世帯が暮らす集落だった。1月1日の地震で国道に土砂が崩落して一時孤立状態に。住民たちは自衛隊のヘリで救助され、その多くが小松市に2次避難した。

 自宅が全壊した山下さんも避難を余儀なくされたが、ほかの住民らと協力し、地域のつながりを守ろうと動き始めた。

 2次避難先は小松市の複数の宿泊先に分かれ、みんなが顔を合わせることは難しいが、「いつでも連絡がとれるように」と携帯電話の番号を集めた。集落に仮設住宅を建設できるよう、用地探しにも奔走。今回の花見会も、「いつか生まれ故郷の景色を取り戻したい」との思いで企画した。

 花見に集まった住民たちを見て、「こんなに集まってびっくりした。うれしい」と声を弾ませた山下さん。震災後も何度か深見町に戻ってきたが、今回の帰省で、復興への思いを新たにしたという。「みんなの笑顔を見て、元気をもらった。また一緒に深見で暮らせるように取り組んでいきたい」(西岡矩毅、金居達朗)

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