「教員には、残業代が支払われていない。労基法の上限も適用されていない。『給特法』という教員を例外にする法律があるからだ。ひとたび、そうした法律のもとで労働時間管理を外されたら、何がおこるのか」
6月26日配信の記事「部活、遠征…53日間で休み1日 教諭の過労死『美談にしたくない』」に、株式会社ワーク・ライフバランス社長の小室淑恵さんは、こうコメントした。
記事では、富山県の市立中学校に勤めていた当時40代の男性教諭が、部活顧問としても多忙を極め、53日間で1日しか休めず過労死したことを伝えた。公立学校の教員は、残業の多くが「教員給与特措法」(給特法)によって「自発的」と解されてきており、妻が起こした裁判でも、市は部活指導は教員の「自由裁量」だと主張したことも伝えた。
労働基準法(労基法)上の残業規制が適用されていない教員の過労死を防ぐには、何が必要なのか。
小室さんは「(男性教諭が)自分の体調を把握できたか。残業したい、したくないの意思が言えた状態だったかどうか」と指摘し、法規制の必要性を訴えた。
「法律で厳しく規制が入ることで、個人もはじめて『法違反になってしまうから休みます』と言える。経営者を縛るためでもあるし、個人が『怠けている!弱い!』などの批判をされずに休むためにも重要なのが法規制だ」
一方で小室さんは、いま経済界でも、人手不足を背景に「働き方改革は行き過ぎた」「(本人に意思があるなら)働きたいだけ働けるようにしなくては」という主張がどんどん大きくなっているとも懸念。
休むことは結果的に仕事の質を上げるなどとして、「日本を豊かにするためにも、いい授業をするためにも、仕事の質と利益を最大化するためにも」、労働時間を法改正によってもっと引き下げる方向に「日本はいつかじをきれるのか」と問いかけた。
この記事や、小室さんのコメント全文はこちらから(https://t.asahi.com/wp62)。同じ記事には、ジャーナリストの島沢優子さんもコメントしています。あわせてご覧ください。
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