バスケットボール部の練習が終わった帰り道のことだった。
4月18日の昼下がり、大阪市都島区内を歩いていた大阪市立淀川中学校2年の小泉隼人さん(13)と、1年の桂悠二朗さん(12)は、高齢の男性が路上で倒れているのに気がついた。
男性は起き上がったが、ふらふらしている。通り過ぎようか迷ったが、他に通行人はいない。「大丈夫ですか?」。2人で声をかけた。
弱々しく2人の手を握った男性はゆっくりと歩みを進める。「道に迷った」「自宅はこっち」と言うが、うまく会話がかみ合わない。
腕にあざがあり、理由を聞いても「大丈夫」と言うだけだ。
困って近くの広場で休憩していると、卓球部の練習を終えた同じ学校の1年生の藤原蓮さん(13)が通りかかった。2人とは小学校が同じで面識があった。一通り話を聞いた藤原さんが言った。「警察を呼ぼう」。
しかし、連絡手段はない。携帯電話は3人とも家に置いていた。相談し、家が近い藤原さんが走って取りに行くことに。110番通報すると、ほどなくして警察官が到着した。都島署によると、男性は城東区に住む80代で無事に保護された。
30日に表彰式があり、3人は感謝状を受け取った。小泉さんは「3人で助けることができて誇らしい。これからも困っている人に声を掛けたい」と笑顔だった。