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従業員が郵便局舎を取得する場合の手続きを記した日本郵便の内部資料

 老朽化などで移す郵便局の移転先の不動産を、郵便局長が取得して日本郵便に貸し出す動きが復活している。取締役会への虚偽報告の発覚で一時停止したが、朝日新聞の調査では、過去2年に移転した郵便局149局のうち、26局が郵便局長の所有物件だった。こうした局舎も含む郵便局網を維持させるため、年650億円規模の財政支援を自民党が検討している。専門家からは「身内への利益の誘導だ」との指摘が出ている。

 企業と役職員との個別取引は利益相反や不当利得が生じやすい。このため民営化後の日本郵便では、新たな郵便局を社員が取得して勤務先に貸すのは原則禁止だ。ただ、局長にしか取得できない物件があり、他にいい物件がないと公募で確認すれば、特例として取締役会が承認する。

 朝日新聞が2023~24年に移転した149局の不動産登記簿などを調べたところ、2割近い26局の物件所有者が局長と一致した。土地は第三者から買ったり借りたりした物件がめだつ。地主が「局長にしか土地を提供したくない」「日本郵便には提供しない」などと主張すれば、取締役会が特例として認める可能性がある。

「虚偽報告で承認」103件の過去

 26局のうち22局は、全国…

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