日本郵政グループの写真

 日本郵政グループが民営化する道筋を定めた郵政民営化法の改正案づくりが、自民党内で進んでいる。政治活動に励む任意団体「全国郵便局長会」の要望を受け、全国2万4千の郵便局網の維持コストを捻出する狙いだ。ただ、日本郵政グループ側から反対意見も出ており、法案がまとまるかは不透明だ。

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 自民党の議員連盟で練られた法改正の素案によると、日本郵政と日本郵便を合併させ、金融2社株は3分の1超を日本郵政に持たせる。行政窓口などの公共サービスを郵便局が受託しやすくなるよう本業の一部に位置づけ、日本郵政への外資規制も検討している。

 また、郵便局網維持のための基金をつくり、従来は成長投資にあててきた2社株の売却益の一部を積み立てる。維持コストが足りない場合の財政支援措置の規定も盛り込む。

 全国の郵便局網には年1兆円超の費用が投じられている。そのうち7千億円超は金融2社からの手数料などが元手だが、窓口の利用者が減った影響などで手数料が急速に縮んでいる。

 郵政事業に詳しい田尻嗣夫・東京国際大名誉教授は「民営化を重視する菅義偉前首相が権力の座から離れ、政治基盤の弱い岸田文雄政権なら法改正を進めやすい面があるのではないか」と指摘する。

 議連では今国会への法改正案の提出をめざしている。ただ、素案には「会社側から反対の意向が示されている」(郵便局長会幹部)といい、政治資金の裏金問題でも不透明さが増している。(藤田知也)

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