六回、2得点目の本塁を踏んだ札幌厚別の松橋亮太主将=2025年6月25日、札幌円山、朽木誠一郎撮影

(25日、第107回全国高校野球選手権南北海道大会札幌地区1回戦 北広島西7―3札幌厚別)

 四回裏、先頭打者として打席に向かう札幌厚別の松橋亮太主将(3年)の目に、円山の緑が映った。なぜか、すっと肩の力が抜けた。

 5球目、低めの直球を強振。青い空に飛び出した白球は左中間を突き破った。三塁に到達すると、相手の送球の乱れが重なり、一気に本塁へ。力強くガッツポーズした。

 春から打撃は絶不調だった。2年冬、リーダーシップを買われて主将になった。チーム内で厳しいことを言う立場になり、主将として打つ姿を示さなければ、と思えば思うほど打てなくなった。野球が楽しくなくなっていた。

 しかし、上野凰介選手(3年)は「絶対に打つと思っていました」と話す。打席に入るときの、松橋主将の晴れ晴れした表情を見て確信したという。「最後の夏で吹っ切れて、重圧から解放されたのかな」

 松橋主将はこの日、4打席すべて出塁。6回にも先頭打者で二塁打を放つと、同点に追いつく本塁を踏んだ。「今日は野球がとても楽しかったです」と、笑顔で最後の夏を終えた。

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