JR各社が運行する赤字ローカル線の存廃論議が各地で起きていることに対し、29道府県の知事が連名で特別要望書を作成し、9日、石破茂首相らに手渡した。
特別要望では、鉄道ネットワークは「全国で公平に安定して確保されるべき社会インフラであり、地域活性化に重要な役割を果たしている」と評価。その一方、廃止を含めた検討が求められていて、「ローカル線は地方の公共交通を支えており、一部でも廃止されると地域社会の衰退につながりかねない」と訴えた。
また、東日本大震災や阪神・淡路大震災などの大規模災害時には鉄道が貨物輸送や代替ルートとして大きな役割を果たしたとも指摘した。
そのうえで、国に対し、①将来の国のあり方を見据えた鉄道ネットワークの位置づけを明らかにすること②ローカル線の維持に関して、JR各社が内部でどう補助するのか考え方を示すこと③県、市町村、地域などが行うローカル線の利用促進の取り組みを支援すること④被災した路線の早期復旧のためにさらに支援を行い、安易に存廃の議論を行わないよう、鉄道事業者に対して厳格に指導すること――の4点を要望した。
要望活動は長野県の阿部守一知事、鳥取県の平井伸治知事、広島県の湯崎英彦知事、山口県の村岡嗣政知事がおこなった。首相官邸で4知事を迎えた石破首相は「(鉄道は)つながってなんぼですから」と述べ、国土交通省と知事らが集まって議論をする場を設ける考えを示した。
■要望に名を連ねた29人の知…