【動画】静岡市内の大雨の様子=読者提供

風雨が激しくなる中、鵜飼観覧船を係留する船頭ら=2024年5月28日午後1時58分、岐阜市の長良川、高原敦撮影
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 東海3県では28日、局地的に強い雨が降り、鉄道が運休するなど各地で影響が出た。名古屋地方気象台は、同日午後に愛知、岐阜で線状降水帯が発生する恐れがあり、29日未明まで広い範囲で大雨が降る可能性があるとして、土砂災害や浸水、河川の増水などに警戒を呼びかけた。

 同気象台によると、28日午後6時現在での24時間降水量は、岐阜県高山市で222ミリ、関市で221ミリ、下呂市で219ミリ、郡上市で218ミリ、飛驒市で124ミリで、5月の観測史上最大となった。同じ時間帯に愛知県豊根村で137ミリ、三重県尾鷲市では123ミリを観測した。

 中部地方整備局によると28日午前9時現在で、愛知県内の2カ所のダムで事前放流を実施して大雨に備えた。

岐阜では鵜飼の開催を中止、バスや電車は一部運休

 岐阜県内では11日に開幕した長良川名物の鵜飼(うかい)が、岐阜市と関市でいずれも増水のため中止になった。

 岐阜市の長良川では午後に入り、観覧船乗り場付近まで茶色く濁った川水が迫っていた。待合所一帯に人影はなく閑散としていた。川ではさらなる増水に備えて観覧船を強固に係留しようと、船頭たちがさおやロープを手に動き回っていた。

 岐阜市鵜飼観覧船事務所によると、28日は39隻ある観覧船のうち13隻の予約が入っていたという。悪天候で中止になるのは例年10度ほどあるが、今シーズンは初めて。29日の鵜飼は天候の様子を見て当日決めるという。

 関市の小瀬鵜飼も中止の判断をした。運営する関遊船によると、中止は今季3度目だが、鵜船や観覧船を高台に避難させたのは初という。

 濃飛バス(高山市)は28日午後の高山―新宿、高山―名古屋、高山―岐阜の高速バス3路線の全便を運休。29日も高山―新宿線などで一部運休を決めた。

 JR東海によると、同日午後5時時点で、岐阜県の高山線(美濃太田―猪谷駅間)の一部列車で遅れや運休が出ており、午後6時ごろから終日、運転を取りやめた。強風の影響で、参宮線(伊勢市―鳥羽駅間)は午後2時過ぎから一時、運転を見合わせた。

愛知県では下校を早める対応 知事会議中止も

 昨年6月2日の大雨で大きな被害があった愛知県の豊橋、豊川両市では、下校を早める小中学校が相次いだ。

 豊橋市教育委員会によると、全74小中学校が下校を早めた。昨年は通学路の一部が浸水する学校もあったという。

 豊川市では3小中学校を除く、33小中学校が午後の授業を中止するなどして下校を早めた。昨年、一部の校舎が浸水する被害を受けた、豊川市立桜町小学校(同市桜町2丁目)は午後1時に全校児童(327人)が一斉に下校した。浅岡孝俊校長(59)は「本来の下校時間に雨が強くなる見通しで、児童の安全を考えて、下校を早める判断をした」と話した。県内各地の小・中・高校でも途中下校の対応をとった。

 三重県では、津市と中部空港を結ぶ津エアポートラインの一部の便が欠航となった。

 また伊賀市のハイトピア伊賀で開かれる予定だった近畿ブロック知事会議が中止となった。「大雨への対応が求められているため」(事務局の関西広域連合)という。会議は、三重、福井、徳島、鳥取各県と近畿2府4県の知事らが出席し、来年の大阪・関西万博の取り組みや大規模災害に関する国への提案事項を話し合う予定だった。今後の開催は未定という。

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