岐阜県

 岐阜県の南北を結ぶ第三セクターの長良川鉄道(本社・関市)は26日、株主総会や取締役会を開き、2024年度決算を承認し役員人事を決めた。社長に再任された関市の山下清司市長は、浮上している一部廃線案について今後2年の任期中に実施の有無を決める意向を示した。また減便を導入すべく10月にダイヤ改定する方針も明らかにした。

 同社は長年の赤字体質から、沿線市町や県などの補助金が注入され、経営を支えている。

 事業報告書では、「総運行距離72.1キロの現状維持か、短縮化は大きな課題」と強調し、「持続ある発展には、今までのまま長距離の運行を続けるのが適当なのか否か検討し、早急に方向性を示していく必要がある」「非常に乗車率が低い夜間、昼間の列車についても減便、運休などを含め合理的な運行を検討する必要がある」などと指摘された。

 沿線の5市町の首長会終了後、山下氏は一部廃線について、「残すべきところは残したいと思っている」とした上で、「高校生の通学の足と観光のためにどこからどこをどのように運行したら良いか、ゼロベースで組み立てていくことを確認した」と語った。時期について「2年以内に結論を出し、実施するのが僕の目標」と述べた。

 また、ダイヤ改定は乗車率の低い時間帯や一部路線が減便となる見込みで、「少ない乗客のために大きな経費をかけることは5市町にはもう限界だ」と話した。

 決算の結果、24年度の経常損益は約3億9768万円の赤字で前年度より3153万円膨らんだ。

 決算の内訳では、通勤・通学定期収入はそれぞれ対前年度比91.2%、98.3%と減収だった。一方で1日フリー切符やワンマン運賃などが好調で、定期外収入は同105.3%と増えた。これら運輸収入全体では同100.9%の微増となった。

 営業費用は、全体経費の4割以上を占める人件費が運転士らの補充で同106%の増。原油価格の高騰で動力費も同102.9%の増だった。これらの結果、営業赤字は同107%の約4億1096万円となった。

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