虎屋別館の「菊の間」。欄間や金ぱくが貼られたふすまがある=「森と山」提供

 「こんぴらさん」の愛称で知られる金刀比羅宮の門前町、香川県琴平町に、老朽化した旅館やホテルをリノベーションしたおしゃれな宿が次々とオープンしている。

 複数の民間企業が手がけているが、共通する目標は「一生に一度ではなく、何度も訪れたくなる町」への転換という。

 表参道の石段の脇に、年季の入った木彫りの看板が立つ。その奥には重厚な2階建ての木造建築が鎮座する。

 今年8月、宿泊者の受け入れを始めた「虎屋別館」は、もとは江戸時代末期に営業を始めた老舗旅館。昭和天皇や皇太子時代の上皇さまが宿泊するなど格式の高さで知られたが、経営難などで1975年以来休業し、49年ぶりの再開となった。

 欄間や金ぱくが貼られたふすまなど豪華な内装が復元され、地元出身の画家で、「成金(なりきん)おじさん」の風刺画で知られる和田邦坊の作品なども展示されている。宿泊料金は1人1万円台から。

 手がけたのは不動産開発会社「森と山」。山内健社長は「琴平が100年後も多くの人から愛される魅力ある地域であり続けられるような施設を目指したい」と話す。

「デジタルノマド」向けの宿泊施設も開業

 同社は2022年1月から…

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