堀内正美さん=山本倫子撮影

 阪神淡路大震災から、まもなく30年。NHK朝ドラや映画などで活躍する俳優の堀内正美さん(74)は発生直後、カメラを手に地元・神戸の街へ飛び出しました。それ以降、市民ボランティアの主導者として行政や他のNPO団体などとも手を携え、自然災害で被災した人や事件事故で心に傷を負った人たちの支援を続けています。今も続く精力的な活動の原点には、やるせない別れがありました。

 神戸市北区へ移住して11年目の1995年、阪神・淡路大震災が発生しました。自宅で大きな揺れに遭遇した僕は家族の無事を確認後、カメラを手に白い煙が立ち上る方へ向かったんです。

 途中スーパーが倒れて道を塞いでいたので車を乗り捨てて、そこからは歩いて。直線距離で3キロほどの長田区にたどり着くと、倒壊家屋の下敷きになった人たちの救出作業に加わりました。とてもじゃないが写真を撮る余裕はなかった。

 あれからまもなく30年。一市民としてボランティア活動に打ち込み、行政と協働しながら市の復興に力を注いできました。ただ昨秋初めての単行本を出版するまで、誰にも言わなかったことがあります。

 あの朝、小学校高学年ぐらい…

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