身ぶりを交えながら指導する村瀬義夫さん=2025年6月17日午後6時14分、徳島県阿南市那賀川町、鈴木史撮影

 高校野球の発展と選手の育成に尽力した指導者を日本高校野球連盟と朝日新聞社が表彰する育成功労賞に、徳島県内から阿南工(現阿南光)や富岡西で監督などを歴任した村瀬義夫さん(61)が選ばれた。人間性の育成も含めた熱心な指導が評価された。

 村瀬さんは阿南市の出身。子どもの頃から長嶋茂雄さんのファンで野球に打ち込み、富岡西の選手時代は遊撃手で3番打者だった。国学院大を卒業後は、阿南工で監督、母校の富岡西では監督、部長を務めるなど、通算26年にわたって球児らの指導にあたった。

 「野球人である前に背筋の伸びた高校生であれ」が信条。立派な人間になり、地域の人たちに愛されるようになってほしいとの願いからだ。技術的にはスローイングを大事にし、確実なプレーを身につけさせようと教えてきた。阿南工時代の教え子にはプロ野球元巨人の投手、條辺剛(じょうべつよし)さんがいる。今回の受賞時に條辺さんから祝福の電話をもらい、感激した。

 出身の阿南市は、市役所に「野球のまち推進課」があるほど、野球熱が高い。昨年、富岡西を退職した後、地元の軟式野球チーム「ANAN BASEBALL CLUB」の指導者に、と誘いを受けた。昨秋から講習を受けて公認スポーツ指導者資格を取り、この春から市内で10人の中学生を教えている。

 「自分は甲子園には出場しなかったが、長年の活動を評価していただいたことはうれしい。野球を続けていてよかった」と喜び、「これからも高校野球で活躍する選手を育てていきたい」と抱負を語った。

 村瀬さんは7月12日、第107回全国高校野球選手権徳島大会の開会式当日に表彰される。

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