「海の復権」をテーマに掲げた「瀬戸内国際芸術祭2025」が開催中だ。瀬戸内海の島々や高松市などの沿岸部を会場に3年に1度開かれ、今回で6回目。夏会期ではハンセン病の療養施設がある大島で多くの新作が公開され、香川県東部の志度・津田、引田(ひけた)が新たなエリアとして加わった。香川県立ミュージアム(高松市)では、小沢剛が讃岐の謎に挑んだ個展も始まった。
強制隔離の歴史、アートで伝える
「瀬戸芸の出発の地点」と北川フラム・総合ディレクターが語る大島の玄関口に、ウクライナのニキータ・カダンによる彫刻が加わった。「枝と杖(支えあうことのモニュメント)」。細い枝のような2本のブロンズ棒が組み合わされ、傾いた1本をもう1本が支える。
大島には、「らい予防法」(1996年に廃止)によって、ハンセン病患者がこの島に強制隔離された歴史がある。
カダンは「病気の症状で目や…