村田製作所とロームは17日、両社の荷物を同じEV(電機自動車)トラックで運ぶ共同輸送を始めたと発表した。二酸化炭素(CO2)の排出量や輸送コストを減らすための取り組みで、電子部品業界での共同輸送は初めてだという。
共同輸送の委託先は日本通運で、京都市や京都府長岡京市にある村田の物流拠点やロームの工場などと関西空港の間を、EVの2トン車1台が週5日、1日1往復する。運ぶのは製品のサンプルや梱包(こんぽう)用の資材などで、走行時のCO2の排出を両社で年間約30トン減らせるという。
課題だったのは、急速充電ステーションの少なさだった。2トン車のフル充電にかかる時間は急速充電器だと1時間半で済むが、通常の充電器だと約11時間かかる。今回のルートは1日の走行距離が約210キロで、渋滞などの可能性を考えると2回の急速充電が必要だった。ルート沿いの急速充電ステーションを1カ所ずつ回り、トラックの受け入れが可能かを聞いてようやく2カ所の理解を得たという。
貨物自動車のCO2排出量は日本全体の7.4%を占め、低減に向けた取り組みが急務とされている。今回の取り組みは2月に村田側からロームに打診して始まった。村田製作所の寺村晃一執行役員は17日にあった出発式で、「(ロームとは)同じ京都にある会社で、運ぶ製品も似通っていて共同輸送の効率が高い。今後、数カ月様子を見てルートや便数などの拡大を検討したい」と語った。