吉田桂子さんが法廷で読み上げた意見陳述書。署名の筆跡は激しく震えている
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 水俣病の救済策をめぐり、各地で起こされた「ノーモア・ミナマタ2次訴訟」。その新潟訴訟の判決が18日、言い渡される。2013年12月の最初の提訴から10年4カ月。149人の原告のうち、この日に先行して判決が言い渡される47人の平均年齢は77.2歳。「生きているうちに解決を」――。判決に向けた原告の思いを紹介する。

 書道の腕前をたたえる十数枚の賞状は、どれも古びて茶色がかっていた。「母にすすめられて高校生の時に習字を習ったんです」。吉田桂子さん(88)が、若き日の栄誉を懐かしんだ。

 「でも、もう……」。自身が14年に法廷で読み上げた陳述書。その自署を見やりながら、ため息をついた。筆跡は、激しく震えている。

 新潟市で生まれ、公務員だった父の転勤などで何度も引っ越した。日本の統治下にあった台湾に住んだこともある。阿賀野川に近い現在の新潟市東区に転居したのは高校卒業後、バスガイドになって1年後のことだった。

震える白手袋をした手 憧れのバスガイドを辞めた

 自宅の近くに食料品店はなか…

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