静岡大、浜松医大の統合再編イメージ
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 9日告示・26日投開票の静岡県知事選は、県内の大学界も行方を見守る。静岡大と浜松医科大の統合再編をめぐり、立候補を表明している前浜松市長の鈴木康友氏(66)が「医工連携」の推進を強く訴えてきたからだ。静岡大側には統合のあり方に異論もあり、元副知事の大村慎一氏(60)、共産党県委員長の森大介氏(55)の姿勢も注目される。

 両大は2019年3月、法人を統合して静岡と浜松にそれぞれ大学を置く「1法人2大学」で合意書を交わした。22年度から新大学に入学生受け入れをめざす計画だった。

 しかし、静岡大では浜松にある工学部と情報学部が分離して浜松医大といっしょになるため、「大学分割になる」と反対の声があがり、21年1月に計画の延期が発表された。

 一方、浜松市や地元財界は「医工連携の画期的な大学」と歓迎してきた。23年3月には合意書通り、1法人2大学の実現をめざす「期成同盟会」をつくり、当時浜松市長だった鈴木氏が会長に就いた。

 静岡大は23年12月、折衷案として両大を統合して静岡、浜松にそれぞれ分校を置く「1大学2校」案を浜松医大に伝えた。だが、浜松医大は合意と違うと反発し、協議は暗礁に乗り上げている。

 鈴木氏は立候補表明の会見で「方針は変わらない」と述べた。「静岡市には薬学部と食品栄養科学部を持つ県立大がある。静岡大静岡キャンパスの農学部、理学部と連携し、新しい薬や医療サービスをつくっていく。浜松では医療機器や新しい医療ビジネスを生んでいく。静岡も浜松も成長できる」と主張した。「最後は大学同士で決めることだが、支援していきたい」とも語った。

 大村氏は会見で「浜松医科大と静岡大浜松キャンパスの工学部を拠点とした医工連携はやっていかなくてはいけない。産業としても非常に重要だ」と答えた。そのうえで「大学の組織のことは大学自身で解決する問題。自治を維持しながら必要な連携や相談はしていきたい」と強調している。

 森氏の陣営は朝日新聞の取材に対し、「これまでの経過を見ると、学生への説明が十分ではない」と指摘した。「再編統合ありきのプロセスの中で、どの再編案も問題があり、教授や職員、学生が参加して解決をめざすべきだ」としている。(青山祥子、大海英史)

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