記者会見する浜松医科大学の渡辺裕司・次期学長=2024年12月11日午前10時5分、浜松市中央区半田山、青田秀樹撮影

 浜松医科大学の次期学長に内定した渡辺裕司副学長は11日、静岡大学との統合再編案の白紙撤回は「受け入れられない」と述べた。静岡大学長は「リセットする」と表明しているが、両大学の合意に基づく「1法人2大学」の実現に向けて協議を続ける考えだ。

 記者会見で質問に答えた。両大学は2019年に統合再編で合意した。浜松医科大は、医学部と、静大の浜松キャンパスにある工学部や情報学部とをかけあわせて特色ある大学ができると歓迎したが、大学の分割をともなう静大側は静岡キャンパスを中心に反対意見が根強い。21年に計画を延期した後、膠着(こうちゃく)状態が続く。

 渡辺氏は1法人2大学案について、「就学人口が減るなかで大学が生き残り、社会に貢献するよい選択肢だ」と改めて主張し、「引き続き前に進めたい」と話した。

 合意案に沿って再編することで「双方が強みを発揮し、地域に密着して筋肉質の態勢になる」と語り、懸念を抱く静岡キャンパスの教職員に対し、説明する機会がほしいと申し入れる方針だ。

 ただし、浜松医科大と話し合わぬまま合意の「リセット」を発表した静大の日詰一幸学長との信頼関係は損なわれている。渡辺氏は「日詰氏は白紙撤回はしないと繰り返してきた」とも指摘し、まずは真意を聞きたいという。「大学同士が機関決定した合意は非常に重い」とも強調した。

 静大の浜松キャンパスにある工学部、情報学部とは、学生、教職員、大学幹部ら、あらゆるレベルでの連携、交流をいっそう深化させ、統合再編に備える方針だ。

 浜松医科大は「光医学」に強みがあり、分子や細胞から組織、個体までの画像化技術を持つ。これらと創薬研究との組みあわせなどに注力していく考えを示した。

 渡辺氏は三島市出身。県東部や伊豆半島などの医師不足問題を重要な課題だととらえ、遠隔診療などの技術も使って地域医療の充実に貢献していくという。

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