記者団の取材に応じる浜松医科大の渡辺裕司学長=2025年6月18日午前11時21分、浜松市、斉藤智子撮影

 静岡大学と浜松医科大学の統合再編が、混迷を続けている。両大学の連携協議会が18日、1年ぶりに浜松市内で開かれたが、議論は平行線に終わった。今後も協議会での話し合いは続けるというものの、先行きは不透明なままだ。

 この日の会合は、静岡大の日詰一幸学長が昨秋に再任され、浜松医科大の渡辺裕司学長が今年4月に就任してから初めて開かれた。協議会は毎月開くのが原則だが、両大学ともに学長の改選を控えていることなどを理由に、1年近くにわたって棚上げになっていた。

 両学長がそれぞれの考えを伝え、浜松医科大側は、静岡大静岡キャンパスの教職員らと直接対話する機会を設けてほしいと求めたという。

 会合後、記者団の取材に両学長ともに「双方の意見に隔たりがあることを確認した」と語った。静岡大の日詰学長は「硬直した状態を打開していくため、双方が静岡県に貢献する大学になれるような新しい対話の形を作っていくということを込めて、リセットという言葉を使っているが、十分には伝わらなかったと感じる」と述べた。

 一方、浜松医科大の渡辺学長は「1法人にする大学再編が、浜松、静岡、県全体にとって有意義な提案であるとお伝えした。(日詰学長の)リセットが正確に何を意味しているかは把握できない」とした。

 両大学は2019年3月、一つの大学法人のもと、静岡市と浜松市それぞれに大学を設けることで合意した。だが、大学分割になるとして静岡大の静岡キャンパスに反対論が強く、22年度の新体制での開学が見送られたままになっている。

 日詰学長は再任が決まった昨秋の会見で、浜松医科大との統合再編について「リセットする」と述べ、議論を白紙に戻す考えを表明した。

 これに対して浜松医科大は「一方的な表明であり、大学間の合意は重い」と強く反発。渡辺学長が今春の学長就任にあわせて今年1月、日詰学長を訪ね、協議会の開催で一致していた。

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