17歳で非行から立ち直った経験を生かし、若者に居場所をつくろうと、滋賀県彦根市のキックボクシングジム代表の仁保彩晴(にぼりゅうせい)さん(22)が、運営費用を募るクラウドファンディング(CF)を始めた。

ポーズをとる仁保彩晴さん(右)と保護司の平田敦之さん=2025年8月6日、滋賀県彦根市、小西良昭撮影

 会社勤めの傍ら、彦根市大藪町のSHARK(シャーク)キックボクシングジムで、5歳から中学生までの15人と大人を指導している。

 キックボクシングは小学4年から中学1年までジムに通っていた。ところが、中学1年から生活が荒れ始め、暴力行為などで、14歳で少年鑑別所をへて少年院へ。

 そこで勉強の楽しさを知る。「友達より家族が大事だとも気づいた」

 その後の保護観察で、保護司の平田敦之(あつし)さん(62)に出会う。

 17歳で自身のジムを立ち上げた。商業施設でたむろするなど居場所を見いだせない子らに、競技を通じて自信をつける場を提供したいと考えている。

 練習の合間には、いじめられた自身の体験も語り、「親を大事にしろ」「教えてもらうんやから、あいさつは要る」と話しかける。「いじめられなくなった」「学校に行くようになった」などの変化が、子らにあるという。

ジムでの仁保彩晴さん(中央)。協力を受ける保護司と=滋賀県彦根市、本人提供

 平田さんも「居場所づくりが非行や再犯の防止になる。非行から更生した仁保さんの言葉はストレートに響く」と語る。

仁保彩晴さん(右)と保護司の平田敦之さん=2025年8月6日、滋賀県彦根市、小西良昭撮影

 押切久遠(ひさとお)・前法務省保護局長は「保護観察対象者として保護司の皆さんの指導、支援を受けておられた仁保さんが、地域への恩返しとして、更生保護ネットワーク協議会の皆さんと一緒に取り組んでおられる(略)更生保護に理解を深めていただく機会となるとともに、犯罪や非行のない安全で安心な地域社会づくりにつながるものとなる(ように)」と期待するメッセージをCFのサイトに寄せた。

 資金は練習費用や公式リング、貸与グローブ、防具の購入などに回す。目標金額は300万円で、9月30日まで。詳しくはCFサイト(https://camp-fire.jp/projects/847481/view?list=search_result_projects_popular)=QRコード。問い合わせは彦根保護区更生保護サポートセンター(0749・26・9811)。

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