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韓国の国会前で、尹錫悦(ユン・ソン・ニョル)大統領の弾劾(だん・がい)を訴える市民=2024年12月10日、ソウル
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 韓国では非常戒厳令を出した尹錫悦(ユンソンニョル)・前大統領の弾劾(だんがい)・罷免(ひめん)をめぐって賛否が分かれました。とりわけ若い世代は、女性が弾劾賛成集会で目立った一方、反対集会には男性が多く参加しました。若い男女は何に怒っているのでしょう。韓国のジェンダー問題を研究する福島みのり・名古屋外国語大准教授に聞きました。

大統領弾劾 賛成→女? 反対→男?

 ――韓国政治が混乱するなか、集会に参加する若者たちの姿が目立ちます。

 「昨年末の非常戒厳を受け、大統領だった尹氏の弾劾(だんがい)・罷免(ひめん)を求める集会には多くの若い女性たちが参加しました。抗議の意思を示すキャンドルを手にした、いわゆるロウソクデモですが、今回はK―POPに合わせてアイドルを応援するかのようなスタイルに変わりました。とても平和的なムードが漂っていました。彼女たちは、ヤングフェミニストと呼ばれています」

 「一方、尹氏を擁護する集会で目立ったのは若い男性たちです。韓国語を略して『イデナム』と呼ばれる20代男性が多く、暴力行為など、残念な行動もみられました」

 ――そんな若者たちを駆り立てるのは何でしょう。

 「韓国の20代、30代は、社会や政治に高い関心を持っています。なぜなのか理解するには、韓国の世代論を知る必要があります。日本と韓国の若者は、外見は似ていてもいろいろと異なります。韓国の若者は自分たちの置かれている状況を分析し、ネーミングしてそれを発信してきました」

 「韓国は1987年に民主化し、90年代の若者は新しい文化の担い手として『新世代』と呼ばれました。ですが90年代後半には深刻な通貨危機に見舞われ、大量のリストラに伴い失業率が上昇、非正規雇用が拡大しました。2000年代、社会的弱者である若者論として『88万ウォン世代』という言葉が生まれました。どんなに頑張って働いても、非正規の自分たちの月給は88万ウォン(約9万円)程度という意味です」

 ――心の底からの叫びのようなネーミングですね。

 「10年代になって若者をと…

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