天皇陛下をはじめ、皇族方の活動や皇室に関連する出来事を過去にさかのぼって紹介する「皇室365」を始めます。皇室のあり方が問われる中、公務や宮中行事などのトピックを毎週、担当記者が詳しく読み解きます。
■5月12日(1990年)天皇陛下が「痛惜の念」 韓国大統領歓迎晩餐会
5月24日(1990年)天皇陛下が「痛惜の念」 韓国大統領歓迎晩餐(ばんさん)会
1990年のこの日、韓国・盧泰愚(ノテウ)大統領を歓迎する晩餐会が皇居・宮殿であり、歓迎のあいさつに立った天皇陛下は「我が国によってもたらされたこの不幸な時期に、貴国の人々が味わわれた苦しみを思い、私は痛惜の念を禁じえません」と述べた。
昭和天皇は84年、韓国大統領として初めて日本を公式訪問した全斗煥(チョンドゥファン)大統領との会見で「今世紀の一時期において、両国の間に不幸な過去が存したことは誠に遺憾であり、再び繰り返されてはならない」と語っていた。天皇陛下はそれを踏襲しつつも、「不幸な時期」「痛惜の念」という踏み込んだ表現をし、陛下が率直な思いを明かしたものと評された。
国賓が来日した際、皇室では歓迎行事、天皇陛下との会見、そして天皇、皇后両陛下主催の宮中晩餐会などが開かれる。宮殿で開かれる宮中晩餐会では、冒頭、天皇陛下が歓迎の「おことば」を述べるのが通例だ。「おことば」の作成過程は明らかにされていないが、外務省や宮内庁、内閣官房などがかかわり、関係者によると、天皇陛下の気持ちや考えを踏まえた上で作られている。取材する担当記者にとっては、陛下の胸中が垣間見えたり、相手国を訪れた際の思い出話が披露されたりする機会として関心を寄せている。
フィリピンのアロヨ大統領夫…