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震災で天井が崩落した角田インダストリアル・テクノ・パーク=2011年3月12日、宮城県角田市、アイリスオーヤマ提供
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 生活用品大手、アイリスオーヤマ(本社・仙台市)の会長、大山健太郎(79)は5月、宮城県石巻市を訪れた。防災・減災、産業振興などの分野で、互いに協力し合う包括連携協定を市と結んだ。

 太平洋に面した石巻は2011年3月の東日本大震災で震度6強を観測し、大津波に襲われた。3602人が犠牲になり、家屋約5万6700棟が被災した。締結式で市長の斎藤正美(69)は今年1月の能登半島地震にふれ、「備えることの重要性を再認識した」と、協力に期待した。

 パックご飯や水、簡易コンロ、衛生用品――。大山が率いるアイリスグループは防災関連商品を数多く手掛ける。製造、物流、販売までグループで対応できるのも強みだ。

 震災でグループの社員3人が亡くなった。宮城県南部の本拠地、角田インダストリアル・テクノ・パーク(角田市)は、自動倉庫の製品が落下して散乱し、ホールの天井は崩れた。被災者に役立つ生活用品がある。「必要とする人に届けよう」。復旧を急ぎ、10日ほどで再開した。

 その頃、南東約80キロの東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)は1、2、3号機が炉心溶融の過酷事故を起こし、広範囲を放射能で汚染した。住民は避難を強いられ、全国に逃れた。

 「原発に頼らない社会にしなくては」。大山はそう思った。中国の大連工場に飛び、省電力のLED照明の増産を指示した。同社が14年間で製造・販売したLED照明で、原発6基分の年間発電量の削減効果があったと試算する。

 被災地の企業として考えた…

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