(14日、第107回全国高校野球選手権大会2回戦 仙台育英6―2開星)
点差を4点に広げられた六回裏2死一塁。開星のエース、松浦愛珠投手(3年)は、救援投手としてマウンドに上がった。初戦の宮崎商戦では、連打を浴びて四回途中で降板。「今日はいいピッチングをして勝ちたい」。そんな強い気持ちで打者と対峙(たいじ)し、2球で内野ゴロに仕留め、仙台育英の猛攻を断ち切った。
背番号1を背負ったのは今春の県大会から。投手陣が固まらないなか、2死満塁でも無失点で切り抜ける粘り強さから、エースに抜擢(ばってき)された。当初は「僕が……」と戸惑ったが、次第にエースの自覚を持ち、夏の島根大会は5試合中4試合で先発を担った。
バッテリーを組む捕手の松本七斗選手(2年)とは中学時代の硬式野球チームで先輩後輩の仲。気心が知れ、弱気な表情を見せると、すぐに言葉を掛けてくれる頼もしい存在だ。この日も八回1死からソロ本塁打を打たれ、気分が落ち込みかけた時、大きな声がマウンドまで聞こえてきた。「強気で来い!」「やってきたことをやれ!」
気を取り直した松浦投手は、インコースへ気迫のこもったストレートを投げ込み、見逃し三振に。次打者も右飛に打ち取り、最終回に向けたいい流れを作った。
試合後、松浦投手は「七斗のおかげで自信をもって投げることができた」。松本選手も「最後までいいピッチャーでした」と、お互いをたたえ合った。