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 インドの食事情や日本企業の進出状況に詳しいジャーナリストのビル・サンビ氏(68)は、手厳しい。

 「純粋な日本食として考えるなら、インドでの(ビジネス)チャンスは限られるだろう」

 どういうことなのか?

 さらに突っ込んで聞くと、両国の食文化に違いがあると教えてくれた。「日本食は食材そのものの食感や、繊細な風味まで大事にする。一方、我々はスパイスを愛し、刺激や主張が強い味を好む。食材の質が良くなくても、豊富にあるスパイスで覆い隠すこともできるんだ」

写真・図版
スパイスを愛するインド人

 確かに、街の飲食店でご飯を食べると、お肉がパサパサしていたり、野菜が傷んでいたりすることはある。

 ただ、最近は都市部の若者を中心に、すしや天ぷら、ウイスキーを好む人も増えるなど、好みの変化も少しずつ起きていると言う。

 「米国でカリフォルニアロールといった巻きずしが受け入れられたように、インド流に適応させた味や提供方法を考えていく必要がある」

 実際に、インド人の味覚に合わせた商品を開発し、売り込んでいる日本企業も出ている。

【連載初回はこちら】スパイス大国に挑むーインド新時代

カレーはもちろん、お菓子や紅茶もピリ辛マサラ味が愛される。と思ったら、スイーツはひたすらに甘い。そんな魅惑のインドに、日本の食品・飲料企業が挑んでいる。人口世界一の「スパイス大国」で商機を探った。

■カップヌードルもピリ辛に…

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