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グリラスが開発したコオロギの粉末を使った菓子やパン、カレー=2021年10月22日午後3時3分
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 食用コオロギの生産や加工をしてきた徳島大学発のベンチャー企業「グリラス」(徳島市)が事業を停止し、徳島地裁に自己破産を申請した、と東京商工リサーチ徳島支店と帝国データバンク徳島支店が21日発表した。近年は食用コオロギに対してネット上で批判の声が高まり、業績が悪化していた。自己破産申請は7日付で、負債総額は約1億5300万円。

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 東京商工リサーチなどによると、グリラスは2019年に創業。食糧問題の解決策として昆虫食が注目されるなか、廃校になった美馬市の旧小学校舎などで食用コオロギを量産してきた。

 20年にコオロギせんべいを無印良品で、22年にはコオロギの粉末入りコーンスナックを大手コンビニで発売。23年1月にはNTT東日本と組んで、食用コオロギの効率的な飼育の実証実験も始めたが、同年末に終了していた。

 23年5月期の売上高は約3800万円と過去最高となった。だが相次ぐ設備投資などにより、同期の最終損失は約3億3925万円と創業以来、4期連続の赤字を計上していた。

 22~23年ごろには、コオロギの粉末を使った給食のメニューを県内の高校で希望者に提供したことが報道されると、SNSなどで「炎上」状態に。抵抗感やアレルギーのある人を除く希望者への提供だったが、同社などに苦情が相次いだ。これを受け、全国販売を計画していた案件などが次々と中止に。大量の在庫を抱えたとされる。

 その後は事業を縮小し、昨年末に美馬市の生産工場を閉鎖。約50人いた従業員も徐々に削減したという。新規事業を計画し、国に補助金の申請をしたが不採択となり、事業継続を断念したとみられる。(森直由)

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