北海道砂川市で一家5人が死傷した飲酒ひき逃げ事故は、6日で発生から9年を迎える。
- 同僚奪った飲酒運転事故 報じる新聞を配り憤った「あまりにも無謀」
飲酒後に飲みなおすために男2人=いずれも危険運転致死傷罪などで懲役23年=が、それぞれ車で速度を競い合うように運転。赤信号を無視して時速100キロ超で交差点に突入し、歌志内市の永桶弘一さん(当時44)一家が乗る車に衝突した。
車から投げ出された長男(当時16)は一方の男の車に約1・4キロ引きずられた。一家の4人が死亡、次女が重傷を負った。
今年6月1日夕、犠牲になった永桶恵さん(当時17)の高校時代の同級生らが、国道12号の事故現場付近で、静かに手を合わせた。
恵さんの高校1、2年時の担任だった小田島数幸さん(63)は事故後、現場近くに赤いカーネーションの鉢植えを供えた。まもなく母になる女性教諭がいたため、恵さんが教室でカーネーションを育てることを提案。一番率先して水やりをしていたという。
「人間関係をよく見て、気遣いのできる、友達の多い子だった。クラスメートたちは、どれほどの悲しみと憤りを抱いたことか……」
同級生だった原田玲於(れお)さん(26)=奈井江町=は、「誰にでも優しくて明るい人だった」と振り返る。
20歳を超え、建設業を営む。飲酒する機会もある。「酔っ払うとこんな危険な状態になるんだということがよくわかった」。タクシーは決して安価ではないとも感じるが「『バレなきゃいい』という自分だけの問題ではない。飲酒運転は危険だともう一度認知してほしい」と話した。(新谷千布美)