候補者らの演説を、スマートフォンで撮影しながら聞く有権者たち=2024年10月15日午前10時5分、大阪府内、筋野健太撮影

 石破茂首相ら自民党幹部が連日のように、衆院選後の大型補正予算の編成に言及している。裏金問題による逆風の中、経済対策の大きさを強調して訴える。「規模ありき」の姿勢に政府内にも疑問の声があるが、対する野党の訴えも負担軽減策が並び、選挙戦は内容や財源の精査を欠いたアピール合戦になっている。

 衆院選が公示された15日、首相は福島県いわき市で「新たな経済対策を世に問いたい」と第一声をあげた。財源となる補正予算は、13.2兆円(一般会計の歳出)だった昨年度を超える規模にすると強調。これまでに示した低所得者世帯向けの給付金のほか、農林水産業や半導体関連の支援策も盛り込む考えを述べた。

 翌16日には、自民党の小野寺五典政調会長が北海道千歳市での街頭演説で首相に続いた。首相と14日夜に相談して大型の補正予算の編成を決めたと明かし、「ガス、電気、燃料の支援のための交付金をしっかり積み上げる。物価高で大変な皆さんを支える」と訴えた。半導体産業の支援や自衛隊の処遇改善の費用にも充てる考えを示した。

 17日には森山裕幹事長が滋賀県での演説で「国土強靱(きょうじん)化の計画が順調に進むようにしておかないといけない」と述べ、公共事業などの費用も盛り込む考えを示唆した。現在の1千億円から倍増させるとする地方創生の交付金についても、森山氏は13日、鹿児島県内で記者団に「来年度予算の執行までどうつなぐかが大事だ」と述べ、前倒しで補正予算に盛り込むことを検討中だとした。

「本当に必要な予算か」 政府内から疑問の声も

 与党内では、10月分で終了…

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