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初出場となる全日本柔道選手権への思いを語る阿部一二三

 体重無差別で柔道日本一を決める全日本選手権大会(講道館、全日本柔道連盟主催、朝日新聞社後援)は29日、東京・日本武道館で行われる。今大会は男子66キロ級で五輪を2連覇中の阿部一二三(27)=パーク24=が推薦出場する。体重別の大会とは違う、この大会への思いを聞いた。

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 ――1回戦は81キロ級の佐藤佑治郎(山形県警)と対戦する。

 重量級に対する柔道はしなくていいかな、と思う。通常通りの自分の柔道をする。全体的に真っ向勝負をしようと思っている。慣れないことはしないで、自分の柔道をしたほうがいい。

 ――重量級の選手と練習しているか。

 (出身の)日体大の90キロ、100キロ、100キロ超の選手と組み合っている。やっぱり強い。練習後の腕の張り方が軽量級の相手とは違う。1本の乱取りで、普段の2本分のきつさがあるが、あまり投げられないようには戦えている。やれなくはないと感じている。

 ――大きい相手は得意か。

 もともと、好きだった。(得意の背負い投げで)担ぎやすいし。ただ、体重無差別の試合は約10年ぶり。高校2年冬の、全国選手権兵庫県予選の団体戦決勝が最後。今はパーク24で同僚の(100キロ級で全日本実業団連覇など実績のある)石山潤平と対戦した。僕が引き分ければ優勝という試合だったが、敗れた。大外刈りのタイミングがあってしまい、投げられた。脳振盪(しんとう)や首のねんざを負い、翌日の個人戦を欠場した。重量級とやるときは、一個のミスで投げられる。

 だから今回は、ミスをしないように戦いたい。慎重になりすぎても良くないが、しっかりと考えて戦う。そこは、高校生の頃から、自分が一番成長した部分だ。

 ――昨夏のパリ五輪、個人戦連覇の一方で、混合団体決勝で1階級上のフランスの73キロ級銀メダリストに敗れた。

 悔しかった。僕が勝っていれば優勝していたから。もっと準備をしていたら、戦い方を変えていたら、勝てたのではないか、と。

 ――団体戦は全体的に、優勢に試合を進めても相手へ指導が出ない傾向があった。普段のルールなら、勝っていてもおかしくない内容だった。

 そういう部分はあるが、相手…

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