Tシャツを使った実験結果が展示されている=奈良市の奈良教育大付属中学校

 柔軟剤や洗剤に含まれる化学物質に反応して頭痛などの症状が現れる「香害」のことを知ってほしいと、奈良教育大付属中学校(奈良市)の生徒たちが、実験結果などを校内に展示している。症状に苦しむ当事者との対話を経て、「苦しむ人の訴えに耳をふさがないで」と伝えている。

 展示を担ったのは同校2年生の4人。「香害ってなあに?」。日頃から社会課題に関心の強い生徒たちが英語科の坂本交司教諭に尋ねた。香りで体調を崩す人がいること、校内にも敏感な生徒がいることを伝えると、「もっと知りたい!」とリサーチを始めた。

 堺市の山口尚恵(ひさえ)さんが香害に関するパネル展を開いていることを知った。化学物質過敏症を患っており、当事者として症状の紹介や当事者の声を発信している。

  • 香りに青春も職も奪われた 知らぬ間に加害者になる「悪意なき汚染」

 生徒たちと山口さんは7月にオンラインで対話した。「香り長続き」をうたうマイクロカプセルを使った柔軟剤の普及により、近隣の洗濯物や宅配の荷物に付着したにおいの成分で体調不良になってしまうこと。日常生活もままならない苦しみや突然発症するリスクなどを山口さんは伝えた。

 生徒たちにとっても香りはひ…

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