Smiley face
写真・図版
鳥取敬愛高校の前田さくらさん(右)=2025年7月23日午前9時51分、鳥取市、清野貴幸撮影
  • 写真・図版

 7月26日に広島市であった全国高校総合体育大会(インターハイ)。鳥取敬愛高校(鳥取市)3年の前田さくらさん(18)は陸上・女子100メートルに優勝候補の一人として臨んだ。予選を1位通過し、決勝へ。今年は暑さ対策で準決勝がなく、決勝は24選手が8人ずつ三つの組に分かれて走り、タイムで順位を競った。

 決勝3組目。得意のスタートダッシュをやや抑え気味にし、中盤もスピードを維持して抜け出す。11秒47のトップでゴール。終盤に失速することがある課題を克服しようと、修正を重ねた納得いく走りができた。しかし1、2組目の1位選手にタイムで及ばず3位。「優勝を狙っていたので、届かなかったのは悔しかった」

 準決勝がない分、体力面での負担は減る。だが風などの条件が同じ一つのレースでライバルたちと競い、勝敗が一目で分かる通常の決勝の方が、自分には向くと感じていたという。昨年の2位に続いて全国に実力を示したが、高校女子最速の座には届かなかった。

 駆けっこは幼い頃から得意だった。小学高学年から鳥取市にある陸上競技専門のスポーツクラブに入り、中学からはサッカー選手だった父の指導も受けて次第に結果が伴うようになった。

 注目を集めたのは今年6月に鳥取市であった「布勢スプリント2025」だ。トラック種目の国内トップ選手が出場する大会の100メートルで外国人選手に続き2位に入った。タイムは自己ベストを0秒21縮める11秒39。追い風参考ながら高校記録(11秒43)を上回った。「風に乗れてうまく走れた。記録を見てもう、びっくりした」

 身上はスタートからの加速で、練習では男子選手より先んじることもしばしば。国体(現・国スポ)の110メートル障害で優勝経験がある陸上部顧問の西沢真徳教諭(38)によると、股関節と足首が強く、体の中心を使って弾むように走る、女子にはあまりいないタイプという。国を代表する選手になる可能性があると期待を寄せる。7月の日本選手権に出場させたのも、将来を見据えて経験を積ませるためだ。

 当面の目標は「国スポでの優勝」。さらにその先は「日本代表のユニホームが着たい。オリンピックも目指したい」。活躍すれば注目されることが増えるが、「『見たよ』とか言われるのが恥ずかしい。うれしいんですけど恥ずかしい」と笑う。

 メモ 前田さんの陸上女子100メートルの主な大会での成績は、2024年インターハイが2位、25年は布勢スプリントが2位、日本選手権が6位、インターハイが3位。

共有