新型コロナ流行期に導入が進められた学習用タブレット端末。香川県では、国の交付金を活用して公費負担で県立高校の生徒に端末を貸し出していたが、2025年度からは保護者の自己負担とすることが決まった。香川以外にも、端末を保護者負担とする自治体は少なくない。端末の負担は、どうすべきなのか。学校教育費の保護者負担について研究する千葉工業大学の福嶋尚子准教授(教育行政学)に聞いた。

  • 公立高校のタブレット端末、香川が自己負担へ 他県でも議論の可能性

タブレット端末自己負担も「隠れ教育費」

 ――研究者としての活動の中で、「隠れ教育費」の問題を提起されてきました。これはどのような問題ですか。

 広い意味での「隠れ教育費」は、親も学校も必ずしもすべて把握できていないけれども、学校に通わせるためにかかる費用のことを指します。授業料や給食費といった分かりやすいものとは異なり、制服や体操服、副教材、部活動、通学定期にかかる費用など、「総額にすると見えにくい」お金のことです。

 保護者や学校も、総額でいくら支払っているのか分からず、統計にも上がってきにくい数字です。このため、保護者の経済的負担が気づかないうちに膨らむリスクや、公費での保障がされにくいといった課題があります。

公立高校の学習用タブレット端末の自己負担について、福嶋准教授は、自治体だけではなく国の責任も重く見ています。なぜ、都道府県立学校の話が国と関係するのか。記事後半で、より詳しく紹介します。

 ――香川県が、学習用タブレット端末を公費負担から、自己負担にすることを決定しました。

 香川県では保護者から声が上…

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