ネクストバッターズサークルで待つドジャース・大谷翔平の後ろで、表示されるピッチクロックの数字=長島一浩撮影

(第107回全国高校野球選手権大会)

 球児のきびきびした動きを連日みていて、大リーグの「ピッチクロック」が頭に浮かんだ。投手は無走者で15秒以内に投球動作に入るなどのルールだ。2023年に導入されると、9イニングの1試合平均時間は22年と比べて24分短い2時間40分、24年は2時間36分になった。

 試合進行を速めてファン離れを防ぐ効果が出ている一方で、一部選手からは「急がされている気分で嫌だ」とも聞く。

 制限のない高校野球はどうか。今夏は17日までで40試合を消化し2時間35分以上の試合は延長の4試合のみ。1時間台は13試合、2時間15分以下は14試合あった。

 その要因の一つが、各打者が打席内でサインを確認する姿だ。プロでは投手のリズムを崩す狙いなどで1球ごとに打席を外すが、そのしぐさがほぼない。打席から出ないよう、審判員からも指導される。

 初出場の聖隷クリストファーを率いた上村敏正監督も、選手たちにきびきびした動きを「ものすごく求めています」と話す。1回戦は1時間57分、敗れはしたが2回戦も1時間52分で最後まではつらつとした姿が印象的だった。

 高校野球はいまや大リーグ関係者の間でも関心が高い。機械的ではない高校野球の姿勢が影響を与える日がくるかもしれない。

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