現場へ! 医学研究 日本の実相(4)
時間ない、お金ない。相談相手もなく、気合と根性で論文を書いた――。
昨年6月、名古屋市で開かれた日本メディカルAI学会で愛知県がんセンターの桑原崇通医長(44)が登壇した。医療現場で孤軍奮闘してAI開発に取り組む人たちと困りごとを共有したいと考えたからだ。
消化器内科医の桑原さんは、診断が難しい膵臓(すいぞう)の病気の鑑別に役立つAIを作りたかった。膵臓は内視鏡で直接見られないが、超音波内視鏡という装置で周りの臓器経由の画像が撮れる。わかりにくいその画像をAIに学習させ、病変部の鑑別を支援して、医師によらず高精度に診断できるようにしたいと考えた。
診療や事務仕事の合間にプログラミングを独学したが、思うように進まない。エンジニアの友人にオンライン家庭教師を頼み、友人の仕事が終わる深夜2時頃から時に朝まで、プログラムを見せ、問題が解決するまでつきあってもらった。
専門家頼れず、プログラムも独学で
研究費獲得をめざし、予備デ…