がん治療で使われる薬が高額化している。分子標的薬や免疫療法といった新しい薬の費用が、従来型の治療薬と比べ10~50倍になっていることが、専門医らによる初めての大規模調査でわかった。

 調査は全国のがん専門医で作るJCOG(日本臨床腫瘍(しゅよう)研究グループ)医療経済小委員会が実施。肺がんや乳がんなどの九つのグループが、17種類のがんについて分析した。

 対象は、根治が難しく薬での治療が主となる「ステージ4」の患者。JCOGに参加する全国の施設で2021~22年に初回治療を行った、計約1万5千人について、月ごとの薬剤費(自己負担で支払う前の総額)を調べ、集計した。いずれも標準治療が対象。

 その結果、17種類のがんの調査では、月50万円以上の治療を受ける人の割合は中央値で59%。また、17%の患者は月額100万円以上の治療を受けていた。

 がんの治療薬には、従来型の抗がん剤のほか、近年、がん細胞に特有のターゲットを狙って効く分子標的薬や、免疫の機能に働きかける免疫チェックポイント阻害剤など、画期的な薬が登場している。これらの新薬が含まれる最近の治療では、10~15年前に主流だった従来型の抗がん剤治療に比べ、薬剤費が10~50倍になっていた。

高額化するがん治療薬

 個別のがんではどうなっているのか。例えば大腸がんでは、転移して根治が難しい大腸がんの患者1880人について治療内容を尋ね、薬剤費を計算した。

同じ効果なのに金額2倍の薬も…

 分析したところ、従来型の抗…

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