9月15日は敬老の日。高齢化が進む一方で、老後の居場所の一つである「老人クラブ」の会員数は減り続けているという。社会保障や地域コミュニティーに詳しい、名古屋学院大の村上寿来(としき)教授は、社会構造の変化を要因に挙げる。そのうえで、都市部でのクラブの重要性を指摘する。
――老人クラブと言えば、ゲートボールなど、みなさんで楽しんでいる場面が浮かびます。
今はグラウンドゴルフが主流です。チーム対抗戦で連帯責任が生まれるゲートボールより、個人でも気軽に楽しめ、健康にも良いからという背景があるようです。
――そもそも、老人クラブはどのようにできたのですか。
戦後、家庭に居場所を失い孤立した高齢者が集まり、自然発生的にうまれたとされています。その後、イギリスの高齢者クラブ制度を参考に、社会福祉協議会が全国的な設置運動を進めました。今は全国63の県と指定市に連合会があります。
――自治体からも毎年一定の補助金が出ていますね。
1963年に制定された老人福祉法で、地方公共団体には老人クラブの活動を援助するよう努力義務が課されました。公的助成が始まり、より組織が発展していきました。
一方で、90年代には高齢者の団体旅行やサークル活動に公的助成が必要なのかという批判も出てきます。活動費として一括して支給されていた助成金が、ボランティアなど社会的な活動への対価として定められ、使途も細かく限定されるようになりました。
――近年は会員数が減っているそうですね。全国老人クラブ連合会などの資料から計算すると、全国の60歳以上の人口は10年(13~23年)で、200万人以上増えましたが、加入率は15%から8%に減りました。
一つは定年延長の流れです…