鳥取大学医学部付属病院(鳥取県米子市)で、胸部の腫瘍(しゅよう)をロボット手術で切除した際に医師のミスで首の動脈を損傷し重い障害が残ったとして、米子市に住む20代の男性が同大を相手取り損害賠償を求めていた訴訟で、14日、鳥取地裁米子支部(三島琢裁判長)で大学側が1億5千万円を支払うことで和解が成立した。
訴状や原告側代理人の高橋真一弁護士によると、男性は胸部の悪性腫瘍のため、2019年4月、同病院でロボットによる胸腔(きょうくう)鏡手術を受けた。その際に医師が電気手術鉗子(かんし)を深く挿入し過ぎて、首の動脈を損傷し、大量出血したという。腫瘍は切除されたが脳に障害が残った。現在は簡単な会話しかできない、話す・書く・計算に支障が出る、マンガを読んでも内容が理解できない、などの状態で、障害等級4級。通常の就労はできないという。
高橋弁護士によると、病院側はミスを認めて謝罪し、当初2千万円の解決金を提示した。男性側は「極めて不十分」として提訴した。
高橋弁護士は会見で「ロボット手術とはいえ、人間が行うものでミスは起きうるとの再認識が必要。ロボットを否定する考えはない。また、病院側が提示する補償額をそのまま受け入れてはならないことを知ってほしい」と述べた。
男性の家族のコメントも発表した。「手術の際は事前に十分な準備を行いリスクを下げて行ってほしい。二度とこのような医療事故が起こらないことを願っている」としている。
病院は取材に「和解したことは事実だが、相手があることなので詳細は控える。再発防止に努めるとともに、今後とも安全で質の高い医療の提供に最大限努める」などとするコメントを出した。