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簡易宿泊所が立ち並ぶ日進町の一角=2025年5月15日、川崎市川崎区、中嶋周平撮影

 川崎市川崎区日進町の簡易宿泊所(簡宿)2棟が全焼し、11人が死亡した火災は、17日で発生から10年となった。当時の現場周辺には、生活保護受給者らが暮らす簡宿が密集していた。10年で半減したが、今でも生活の場として必要としている人たちがいる。

 火災現場から北に200メートルほど離れた一角には、「一泊1600円」「全室テレビ付」などとうたう簡宿が立ち並ぶ。一方で、人けのない宿や「休業中」の貼り紙が目に付いた。

 「そりゃ、焦るよ」。営業を続ける簡宿の3畳ほどの一室で、佐藤克良さん(75)はこうつぶやいた。佐藤さんが暮らすこの宿が、5月末で営業を終えることが決まったためだ。新しい入居先を探しているが、「ほとんどは、年齢を理由に拒否される。簡宿を選ぶほかない」と語る。簡宿は減少の一途をたどるが、「高齢で生活保護を受ける、我々のような人たちの受け皿は必要だ」。

 同じ簡宿に入居したばかりの男性(60)も、家探しに奔走していた。

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