弁護団長を務めた丹羽雅雄弁護士(手前)は大阪地裁判決の意義を語った。「朝鮮学校が日本にあることの意義を言った。まさに歴史的な勝訴判決だった」=2025年7月28日午後7時29分、大阪市東成区、大滝哲彰撮影

 朝鮮学校の生徒に「あたりまえの権利」を――。政府が高校授業料無償化の対象から朝鮮学校を外したことを受けて全国5カ所で争われた裁判では、大阪地裁が唯一、朝鮮学校側の勝訴を言い渡した。判決から8年となる28日、大阪市東成区で判決を振り返る集会が開かれた。

 大阪地裁は2017年7月28日、大阪朝鮮高級学校を対象から外した国の処分は「教育の機会均等の確保とは無関係な外交的・政治的意見に基づいている」として、無償化適用を命じた。

 また、日本による植民地政策などの歴史的経緯を踏まえ「母国語と母国の歴史、文化の教育は民族教育において重要な意義を有し、民族的自覚及び民族的自尊心を醸成するうえで基本的な教育である」と認定した。

 だが、大阪高裁での控訴審で朝鮮学校側は逆転敗訴。最高裁も上告を退け、全国5カ所での裁判で朝鮮学校側の敗訴が確定した。

 集会は「歴史的判決が残した『希望』を後世につなぎたい」と、大阪訴訟の朝鮮学校側弁護団と支援団体が企画。当時の生徒や保護者ら約250人が参加した。

 弁護団長を務めた丹羽雅雄弁護士は大阪地裁判決を「脱植民地主義という21世紀の潮流に適合する判断だった」と振り返り、「民族教育こそ最も重要だということが、日本社会に突きつけられている。この闘いは最後までやりきらなければいけない」と決意を語った。

 当時大阪朝高に通っていた韓(ハン)世鈴(セリョン)さん(24)は、判決を聞いた当時を「たくさんの人に支えられていると実感した」と振り返った。卒業を目前に自身のノートに「守られる立場から守る立場に」と書いていたと明かし、「当時の自分の決意に恥じないでいたい」と声を震わせながら話した。

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