若年性認知症と診断された10年後に、「あなたは認知症ではない」と告知された男性がいる。その間に離職を余儀なくされ、離婚もした。「えっ、どういうこと?」。衝撃だった。
商社勤務だった59歳 若年性と診断され頭が真っ白に
広島市の竹内裕さん(74)は2009年当時、専門商社で専務を務めており、営業に奔走していた。ただ、その前年ごろから取引先からの依頼を忘れるといったミスを繰り返す。部下から「様子がおかしい」という声が上がり、病院に行くことを勧められた。
受診の結果、「前頭側頭型認知症」と診断された。59歳のときだった。頭の中が真っ白になった。専務を解任され、自宅待機を命じられた。「病気を知られたくない」と外出もできなくなった。
自宅では電気を消し忘れたり、トイレを流し忘れたり。妻から注意され、夫婦の衝突も増えた。離れて暮らす息子たちが会いに来てくれても、変わり果てた自分の姿を観察されているようで、「まるでアリ地獄にはまったようだった」。
認知症の臨床診断の精度は必ずしも高くないといいます。どう判断すればいいのか。専門医へのインタビューを後半に紹介しています。
きっかけは同級生の一言
転機は中高の同窓会だった…