(27日、第107回全国高校野球選手権香川大会決勝 尽誠学園6―2英明)
エースで4番で主将――。尽誠学園の広瀬賢汰主将(3年)はこの肩書通り、チームを引っ張ってきた。
開始早々、2点を先制された直後の一回裏、2死一塁の場面で打順が回ってきた。
「自分で取られた分は取り返す」。
甘く入った球を逃さず、センター越えの三塁打に。1点を返し、反撃開始の口火を切った。
主将の一打にチームは勢いづいた。この回6安打5得点の猛攻で、相手に傾きかけた流れを一気に引き戻した。
その後、マウンドでは何度も得点圏に走者を許したが、「チームのために」と踏ん張り続け、エースとしての役割も果たした。
昨夏の香川大会は2回戦でサヨナラ負けを喫した。この悔しさを糧にし、どうしたら僅差(きんさ)の試合で勝ちきれるのかを考えてきた。ピンチの場面を想定した練習を繰り返し、仲間のプレーを厳しく指摘することで、接戦の緊張感を常に持てるようにしてきた。
九回表の守り。2死まで追い込みながら、一、二塁に走者を背負い、ピンチが続いていた。マウンドに集まってきた仲間とは「一球一球、集中していこう」と声を掛け合った。最後の打者を仲間のファインプレーで打ち取ると、両手を天に掲げて笑顔を見せた。「いい仲間に恵まれた」
つかんだ甲子園の舞台。目標は日本一だ。この日の結果を素直に喜びつつも、「守備から流れをつくる野球で、1日でも長く、この仲間と野球がしたい」。