親子での新聞の読み方について語りあった浜学園の松本茂学園長(左)と朝日学生新聞社の吉田由紀・統合編集センター長=2025年7月3日、酒本友紀子撮影

 時事問題を扱うことも多い中学受験の入試問題。新聞を活用したいと思っても「我が子がなかなか読んでくれない」と悩む保護者もいるのではないでしょうか。朝日小学生新聞の記事を使って1週間の出来事を塾生向けウェブ動画「かれとぴ!」で解説する浜学園の松本茂学園長と、朝日小学生新聞を発行する朝日学生新聞社の吉田由紀統合編集センター長に、親子での新聞の読み方を聞きました。

SNSと新聞の違い

 ――子どもたちに新聞を読んでほしい理由は。

 吉田 社会の多様な出来事に関心を持ってもらい、少し大げさに言えば「この世は生きるに値する」ことを知ってほしいと思っています。世の中には面白いことがたくさんあることを伝えたいと記者たちは考え、日々取材しています。色々なことを知るほど選択肢も広がります。

 松本 SNSは最新のことや自分の興味のあるものを手っ取り早く知ることはできるけれど、情報が偏りがち。新聞は社会の出来事の最初から最後までを理解することに役立ちます。良い文章に触れることで読解力や表現力も自然と身につきます。

 ――子どもたちに読んでもらうため、どんな工夫をしていますか?

 吉田 例えば6月21日の1面は参院選を解説した漫画です。文章だけでQ&Aを載せても難しいので、分かりやすく伝えるために思い切ってコマ漫画で構成しました。子どもたちは「議員はいくら給料をもらっているの?」ということにも興味があるので、議員の仕事内容や待遇を求人広告風に紹介するコーナーも設けました。

 メートル条約の特集では、新聞を広げたら対角線の長さが約1メートルになるなど、身近なものの話から始めました。

 松本 こういう記事は大人にも読んでほしい。参院選の仕組みやメートルがどうやって決まったかは大人だってうまく説明できないですよね。また、選挙の話をした後は、子どもを投票所へ連れて行き、投票用紙を折る経験をさせてほしい。小学6年生でいきなり選挙の仕組みを習うより、こういう経験から入ると勉強って面白かったりしますよね。親にとっても、どういう表現なら子どもに伝わるか、ジェンダーギャップや難民などセンシティブな話題をどこまで踏み込んで伝えていいのかといった観点でも新聞は参考になります。

 吉田 ニュースの本質をおさえつつ、難しい言葉を使わない表現について、何人もの目でチェックしています。殺人事件などは扱わない傾向ですが、子どもたちに注意を促す必要性がある場合や、時代の記録として伝えることが大事だと判断できる場合は、怖がらないような工夫をして記事にすることもあります。

親が子どもの話を聞いてあげて

 ――中学受験を控える子どもにとって役立つ小学生新聞の読み方は。

 松本 普通の新聞だと大人の…

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